久しぶりにお話うｐしようと思いながら自宅に帰る途中に、
いきなり異音がして車が故障したヽ(;´Д｀)ﾉ

高速で。

初めてロードサービスのお世話になったんだぜ…
免許更新の帰りだったからなんの因果かとorz
せめて事故に発展しなかっただけよかったと思うようにしよう…
車はエンジンがもうアウトのようなので、廃車コースですorz
次の目処も立ったのはよかったですが…心と懐が痛い…orz

お話はつづきから。

夜毎熱い嵐の中で囁かれる睦言も
昼日向、無邪気な笑顔で向けられる言葉も
君の言葉は惜しげもなく俺に降り注ぐ


【夢見る魚】


雨が締め切った窓を密やかに打ち付ける、その音すら拾えるほどの部屋の静けさ。
紫闇の髪の青年の部屋に金の髪の少年が居座るのはいつものことだ。
ただ、いつも明るい日の光を連想させる髪の色そのままの奔放な少年が雨音を耳に拾えるくらい大人しいのは、少年を知る人たちからすれば少し珍しい光景かもしれない。
パートナーの部屋にいながらルシアンがボリスに構えとせがまないのは、彼の関心が手元の分厚い本に向けられているからなのだろう。
マーケットで見つけたと言った一冊の本は、寝物語に聞かせる幼子のものからから少し上の子供向けに書かれた冒険譚のようだった。
数ページ軽く流し読みしたところでルシアンの好みだったのか、即決で本を手に入れてきたときらきらと笑顔で報告してきたのが昨日の夕食の席。
今日は事前に休みだと言われていたから、いい退屈しのぎになったようだ。
これがいつものことなら空模様に不満を爆発させているところだろう。少々行儀悪くベッドに寝転がりながら本に熱中している間はボリスも剣や道具類の手入れに専念できるし、と言葉はないものの穏やかな時間が流れていた。
一通りアイテム類の在庫管理まで済ませたところで、ボリスは喉の渇きを覚えて懐の時計を取り出す。
昼食をとるには少し遅いくらいの時刻に思っていたより時間がかかっていたと小さく驚きながら、ベッドを占拠している相棒を見ると、開いた本を枕に寝息を立てていた。
本は中ほどまで読み進めていたようだが、寝転がりながら、という体制が睡魔を呼び寄せてしまったのだろう。
あどけない寝顔に無意識に笑みを浮かべながらそっと名前を呼んだところで、うっすらと空色の瞳が開いた。
「ルシアン、遅くなったけど昼食を……」
言いかけたところで、ルシアンが小さく何事かを囁いたのに気づいて言葉が止まる。
聞こえない、とボリスが顔を少し寄せたところで、ふにゃりとルシアンが蕩けるような笑みを浮かべた。
「…ボリス…大好き…」
幸せそうにそれだけいうと、また夢の世界に旅立ってしまったルシアンに、ボリスは思わず片手で顔を覆ってしまった。
顔が熱い。多分耳まで赤くなっているだろう自分の現状をこんなときでも妙に冷静にボリスは小さく息をついた。
いつもこの少年は躊躇いもなく自分に気持ちをぶつけてくる。
惜しげもなく寄せられる好意の言葉は、静かな雨のようにふりそそいでボリスの心を満たしていく。
そうしてやがて海のようにあふれそうなルシアンの言葉の海に、ボリスはいつしか息もできないくらいに溺れてしまいそうになるのだ。
甘く苦しい、その水底にひっそりと横たわることができたなら。いつもと少しだけ違う今だからこその一瞬の夢想。
真っ直ぐに向けられる好意は、時に身の置き所をなくすほどの心地になるけれど、そういった部分も含めて一緒にいたいと思えるのだ。
ベッドに寄りかかって窓を見る。雨音の弱まる気配はまだ窺えない。
いつかこの雨のように自分のなかに降り注いだルシアンの言葉に溺れてしまう時がくるのだろうかと、ぼんやりと思いながらボリスはそっと瞳を閉じた。